健康志向を持つ人が増える昨今の情勢のなか、「健康運動実践指導者」に注目が集まっています。
健康運動実践指導者はその名の通り、「健康になるための運動方法を指導できる能力を持つ」ことを証明できる資格です。
本資格を取得することで、運動や栄養管理による適切な健康促進をサポートする人材として就職・転職ができるでしょう。
こちらでは健康運動実践指導者の特徴と、資格の取得方法を紹介します。
健康運動実践指導者とは、健康になるための運動方法を指導できる専門知識を持つ人に与えられる資格です。
「公益財団法人 健康・体力づくり事業財団」が運営・認定する資格で、「第2次国民健康づくり運動」の一環として平成元年から資格の提供と対象者の養成がはじめられました。
長い歴史を持つ資格であるため、現代でも医学、運動生理学、健康に関するスキルなどを持つ人が、健康運動実践指導者を取得して実践指導に取り組むケースは多いです。
健康運動実践指導者は、健康づくりのために作成した専用の運動プログラムを参考に、実践的な指導を行うのが仕事です。
実際に自分の身体を使って運動の見本を提示したり、学校などの集団を対象に技術指導を行ったりするのも役割となっています。
健康運動実践指導者の登録者数は、日本全国で18,845名(令和3年8月1日時点)となっています。
今後も運動や栄養摂取によって健康な体作りを支援する健康運動実践指導者は、高い需要を持つ資格となるでしょう。
特にスポーツジム、医療機関、福祉施設、公共の運動施設、学校などで仕事をしたい人は、健康運動実践指導者の資格取得がおすすめです。
将来的にフリーのスポーツトレーナーとして独立し、スポーツ関係や栄養の知識を提供する仕事などで活躍することも考えられます。
健康運動実践指導者になるには
健康運動実践指導者になるには、所定の条件をクリアして試験に合格する必要があります。
健康運動実践指導者の試験を受けるには、「健康運動実践指導者養成講習会」を受講する、もしくは「健康運動実践指導者養成校」で養成講座を修了しなければなりません。
健康運動実践指導者の資格取得を目指す際には、専用の講習を受けることで受験資格を得られます。
- 健康づくり施策概論
- 運動生理学
- 機能解剖とバイオメカニクス
- 栄養摂取と運動
- 体力の測定と評価
- 健康づくりと運動プログラム
- 運動指導の心理学的基礎
- 健康づくり運動の実際
- 運動障害と予防・救急処置
などの科目を学び、健康運動実践指導者に必要な能力を育みます。
講習会を受けるためにも条件があり、以下のいずれかを満たさなければなりません。
- 体育系短期大学、2年制の体育専修学校、もしくはそれらと同等以上の学校を卒業した人(卒業見込みを含む)
- 3年以上運動指導に従事した経験のある人
- 運動指導に関係する資格を持つ人
→アスレティックトレーナー、日本スポーツ協会認定コーチ、NESTA公認パーソナルフィットネストレーナーな - 保健医療に関係する資格を持つ人
→保健師、管理栄養士、看護師など - 学校教育に関係する資格を持つ人
→幼稚園教諭、小・中・高等学校教員免許(教科は不問)
上記の条件を証明する書類を提出することで、講習会に参加できます。
受講内容は「講義16単位」「実習17単位」の合計33単位となります。(1単位は90分)
基本的に1日5講義までとなり、時間は9:00~18:15程度を予定しています。
講習会は基本的に全日程(3日間を3期、合計で9日間)に参加可能で、体育館とプールでの実習を行える人が対象です。
受講料は137,238円(税込)となっていて、料金にはテキスト料も含まれます。
健康運動実践指導者の指定養成校に進学・卒業することでも、受験資格を獲得できます。
養成校に指定されている学校は国内のさまざまな場所にあり、まずは自分の最寄りの学校を探すことからはじめましょう。
指定されている全国の養成校は、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団の公式サイトで公開されています。(2021年5月時点の情報)
講習会ではなく学校に通うことで資格取得を目指すのなら、上記のページから指定されている養成校をチェックしておきましょう。
健康運動実践指導者の試験は、講習会のカリキュラムに沿った内容で筆記試験と実技試験の2種類が行われます。
実技試験では数名に対して実際に運動指導を行い、運動指導能力をその場で示すことになります。
冷静に相手のことを意識しながら指導ができれば、健康運動実践指導者として必要な能力を持っていると証明できるでしょう。
筆記試験では、パソコンを使った五肢択一式の問題に回答します。
主な試験内容は健康、運動、栄養、障害予防などとなり、各種の知識が身についているか試されます。
健康運動実践指導者の資格試験の合格率は、だいたい70~80%と言われています。
そのためしっかりと受験対策を行えば、資格取得を叶えることはそれほど難しくないでしょう。
しかし、試験に合格しても、健康運動実践指導者の資格には5年の有効期限があります。
5年後には更新が必要となり、手続きを忘れると認定試験を再受験しなければならなくなるのです。
更新の時期が近づいたら、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団から文書で案内が届くので、忘れずに確認してください。
まとめ
健康運動実践指導者は、今の健康を維持したい、より健康な生活を実現したいという人たちの需要に応えられる資格のひとつです。
資格取得が就職や転職のきっかけになることもあり得るので、健康指導や栄養関係の知識などに興味がある人はこの機会に受験を検討してみてはいかがでしょうか。
健康運動実践指導者の資格を持つことで、健康になるためのプランを計画して指導できる人材であることが客観的に証明できます。
それは仕事での信頼を勝ち取り、次の仕事につなげていく結果にもなるため、関連する職業を目指すのなら健康運動実践指導者のような専門資格の取得はぜひ検討してみてください。